2016年1月10日日曜日

イヌをCTで覗く_2





12月1日ミンモは手術をしました。
冒頭の画像は翌2日に病院に迎えに行き、先ずは水入らずの対面をした時のものです。



10月末のCT検査の目的はミンモの肝臓の状態を明らかにしたかったのは勿論、その他気になる箇所もいっぺんに知りたいというのがありました。

そして、分かった事。

1_
ミンモには脊椎の異常があります。
脊椎異常は短頭種にはかなりの割合で色々な形で見られるとのことで、今までどの病院でもさほどびっくりはされませんでした。
ミンモの場合は肋骨の生える胸椎がひとつ多く、そこから未発達の肋骨が1本生えてます。脇腹を触ると変な突起を感じ、ミンモがうちに来て間もない頃、レントゲンで確認しました。
しかし、CT画像ではその反対側にも肋骨を発見。細いのですが、胸椎からは離れて独立してお肉の中に浮いているのです。
母さんのお腹の中に居る時に骨折でもしてそのまま遊泳しっ放しなんだろか...  こんな事ってあるんですね。

2_
大きくはならないけど、小さくもならない幾つかのシコリ。
CTでも脂肪腫との診断でした。その判断の根拠は聞いたものの、次の新事実で忘れてしまった...

3_
かれこれ10ヶ月間くらい続いている青っ鼻の正体。
我が家の床から60cmの物にはこの濃厚な鼻汁が絶え間なく浴びせられ、拭いても拭いても常にその痕跡がはり付いている状態でした。
で、CT画像でしっかり確認できたのが、犬歯近くの上顎から左の鼻腔に目がけて刺さっている堅そうな異物。
径1.5mm、長さ15mmくらいの物。
外で遊んでる時にオモチャと一緒に思いっきり噛んで刺さっちゃったんだと思います。

元々行きつけの病院でも青っ鼻の原因には幾つかあるが、その中で犬歯あたりに何らかの異常があることにより、炎症を起こしている場合も青っ鼻が出るとの説明を受けていました。
これにはミンモもかなりの違和感を覚えているはずで、内視鏡もしくは軽度の外科手術に依って取り除けるかもしれないとのこと。
CT検査後約1ヶ月の12月始めに手術を受けることと相成りました。



さて、手術。
麻酔に細心の注意を払うとのことで、ミンモの身体を準備させるために手術の前日からお泊りでした。手術予定は昼過ぎから。

昼近くに電話有り。手術は押せ押せで夕方から。ミンモの場合緊急性はないので仕方ないか...
夜7時電話有り。内視鏡では異物は取り除けず、上顎から穴を開けての外科手術に切り替えるとの報告。
夜10時電話あり。異物は取り除けず...   麻酔からは醒めて4本の足で立てる状態。鼻血が止まらず、その日の退院は無理との報告。

こちらとしては胃カメラでポリープを取る程度の手術だと思っていたので、あまりにも時間の長い手術に実はびっくり。待てど暮らせど連絡が来ないので、途中で良からぬ事も考えてしまいました。

今回の手術。
喉の方から鼻腔内に内視鏡を入れて異物を取り出そうとしたのですが、鼻腔にちょこっと顔を出していた異物は内視鏡で掴むことが難しかったそうです。そして血にまみれたカメラを洗浄している段階で、異物は視界から消えてしまいました。水で刺激された筋肉がキュッ縮まって、異物を顎のお肉の中に追いやってしまったらしいのです。
その後、上顎の犬歯近くの歯肉に小さな穴を開けて探ったものの異物を見つけることはできませんでした。
医師説明時のイラスト

ただ、このまま異物がお肉の中に埋もれてしまえば炎症を起こすことはなくなるであろうから、これからは鼻汁の質に注意を払って観察しましょうとのことでした。



手術翌日、鼻血も止り、ミンモは無事退院。計2泊の入院となりました。

2泊もしてしまい、先ず帰宅してやったことはもちろん入浴。
入って良いかどうか退院時に聞きもしなかったけど、体温と同じぬる湯にどっぷり。
ミンモはマイボーム腺機能不全と目頭に2つずつある涙点 (涙の排水口) のひとつが閉鎖してしまっていることで、涙が瞼からこぼれ出してしまいます。こまめに瞼の手入れをしないとあっという間に涙で目の周りがガチガチのハリネズミ状態になってしまうので、ゆっくり風呂に浸かってる間に、入院中 強力に固まった目ヤニを落としました。



さて、退院後のミンモの鼻汁事情はとても良好で、今までの機関銃の様な鼻水攻撃がなくなりました。
直ぐ曇りガラスになってしまう窓ガラスもスッキリそのまま。


退院後2週間続いた抗生剤も終わって3週間経った今も良い感じで、べとべと鼻汁の被害に遭っていません。もちろん鼻は垂れることはあっても、さらさらタイプです。
これってお肉に埋まってるってことかな。
どぉでしょ、鼻の下もスッキリ。



入ってしまった異物を本気で取り出すには大掛かりな手術になってしまいます。そんな事してまでミンモをいじくる気は毛頭ありません。今回異物は取り出せなかったけど、このままお肉の中でひっそり悪さをすることなく、おとなしくしていて欲しいものです。


ぶ   
 


2016年1月6日水曜日

イヌをCTで覗く_1








昨年のお話。
10月の終わり、定期的に検査していたミンモのレバーの謎を明らかにするためにCT検査を受けました。もしかしたら生検も受けるかもしれなかったので、同時に両方可能な病院を紹介してもらいました。


昨年中のミンモは数々の病院を泊まり歩き、まるでVETミシュラン調査員のようでした。



で、結果を先に書いときますが、先天性の疾患「肝微小血管異形成」。
肝臓の仕事は多岐に渡って複雑なので簡単に書くのは... とは思いますが、あえてここでは乱暴に。 てか、正直全てを理解できないので分かる範囲でのメモ。

・肝内の小っちゃな動脈系と静脈系が肝細胞をシカトして、ショートサーキットを起こし、栄養摂取も解毒も上手く出来てない。
・肝臓自体が小さいだけでなく、肝内血管も細く、細胞が元気ないので肝臓のお肉は美味しくない状態。
・投薬や手術で治る病気ではない。

持参した来院前の検査データを見た段階で「門脈低形成」の疑いと言われたのだけど、どうやらこの微小血管云々は門脈低形成の軽度の状態らしいです。で、繊維化が進んで重度なのが肝硬変。
また、今回これが分かったので生検までは至りませんでした。

肝臓のCT画像 : お肉付きレバーから血管のみへ





イヌの場合のCTには全身麻酔が前提です。じっとしてくれないから。
でも、検査に入る前にミンモの病歴を見たCT担当の獣医から麻酔はしたくないと言われてしまった。肝臓に負担が掛かってしまう事だし、検査ごときで命の危険にさらしたくないってことなのです。
たしかに...
しかし、ここで止まってしまえば前に進めません。麻酔の導入から覚醒まで全ての正しい管理をお願いして検査へ送り出しました。
結局、CTは無事に撮れ、前記したとおりの診断結果が得られたわけです。それも無麻酔下で。

実はCT検査、麻酔前の鎮静剤を投与した段階で心拍数が半分に落ちてヘニャヘニャになったところで撮っちゃったのでした。もちろん心拍数を上げる投薬をして元に戻したのですが。
元々ミンモは徐脈傾向にあり、診察台に乗ればドキドキして普段よか心拍数が上がってるはずなのですが、それでも平均より低いのでした。
話はそれるけど、実は私も徐脈。あと5回少なければ失神するって言われた事があります。怠け者の心臓。
最初意味がよく分からず、ポンプの筋力が強靭な立派なハートと褒められたのかと思ったら、脳が虚血になって阿呆になると遠回しに医者に言われました 笑。




という訳で無麻酔でミンモはCTにおさまり、今まで飲んでた利疸剤に加えて、ヘパテクトプラスというサプリメントを日に2錠、そして療法食を指示されました。薬を飲ませるため程度の肉なんかは問題無し。因って手作り食はデデと同量になりました。


輪切りだけでない今のCT技術により、CT画像でもしっかりミンモ。
CTでもちゃんとカメラ目線。
ピンボケだけど骨までミンモ。


ミンモの3D CTに喜んで記念撮影なんかしちゃって...



今回CT撮影は無事出来たものの可哀想だったのが、造影剤の副作用。これはかなり応えてその日の晩ご飯は一口も食べれませんでした。

私自身、CT検査なんぞ受けた事もないので、どんだけ辛いか知る由もなく、心配で夜間病院に電話してしまいました。昨年3月に肝臓がイカレて緊急入院した病院です。
前回は直ぐにでも連れて来いだったけど、今回は様子がこれ以上おかしくなったらいつでもどーぞでした。
実際、日付が変わる頃には少し楽そうになったので、薬を飲ませようと肉片を差し出したところ、ペロリ。
ペロリはしたけど、すぐさま苦虫を噛み潰したような今まで見たことのない変顔になって嚥下に苦労したため、その晩の給餌は諦めることに。
幸い、翌朝にはいつものミンモに戻り、前日の不調が嘘のようでやっと安心できました。
その後CT検査を受けた人達にこの話をしたところ、色んな重い副作用に苦しんだと聞いて私はビックリ。丈夫なのか鈍感なのか... うちの者達には造影剤の副作用の例がないのでした。


ミンモには辛い思いをさせたけど、やっとやっと、今後ミンモの肝臓にどう対処すれば良いのかを知ることが出来ました。しかし、よほどの事でもない限りこの検査はもうこれでおしまいです。





ぶ